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【アニメK】映画『Lost Small World』感想【ネタバレ】

※ネタバレ有り

 

【アニメK】映画「Lost Small World」を観るのが怖い【ネタバレ】(https://sukinakotosukinadake055.hatenablog.com/entry/2018/10/07/144750)

 

【アニメK】映画「Lost Small World」を観た

(https://sukinakotosukinadake055.hatenablog.com/entry/2018/10/09/204532)

 

うーん、

3コマ漫画かな?🤔

 

はい。

 

最高でした。

 

この一言に尽きます。

小説版『Lost Small World』への思い入れが強く、

漫画版と解釈違いを起こしていた私は数日前にあんな記事を書いておきながら、

鈴木監督の描いたスモールワールドに完全敗北いたしました。

 

この記事は鈴木大監督、壁井ユカコ大天才女史、三木眞一郎氏への敗北宣言です。(?)

 

 

初めに断っておきます。

私、今作でも解釈違いを起こしています。

 

しかしご安心ください。(?)

 

そんな頭バリ固野郎でも

この作品は圧倒的なクオリティを持って、憤りかけたオタクを黙らせ、ファンの1人として抱擁をかましてきます。

 

つ、強い……。

なんて、力だ……。K、愛してる……

 

完膚無きまでに「八田伏見のオタク」な人格が「Kのオタク」として昇華されてしまいました。

 

 

・スモールワールド

 

パンフレットで言及がありましたが、

この作品はロストと銘打っている割に主人公である八田と伏見は何も失っていません。

 

というか、

失ったものよりも得たものの方が大きかったのです。

 

彼らにとって、今まで生きてきた世界は比べ物にならない程"ちっぽけ"な世界だったのです。

一方、

もう1人の主人公と言っていい阿耶。

今作では1人だけ得ていたものを失うキャラクターになっていました。

なるほど。阿耶マブい。これか。マブいな。確かに。

 

 

さて、

上記の記事で散々危惧していた話のまとまりの件です。

オールグリーンでした。

 

いや、作品を鑑みるとオールレッド……?ブルー……?

まあいいでしょう。

 

八田伏見のオタクな私が、文句を並べられず

只々敗北するしか無かった理由は冒頭とラストシーンにあります。

 

 

冒頭、伏見のインスタレーションのシーン。

ここで感情の起伏が見受けられる人物は誰もいません。

儀式を受ける側の伏見ですら、淡々とかの台詞を述べています。

 

「1人目の王はこの手を取れと言った。2人目の王はこの剣を取れと言った。」

 

宮野真守が上記の台詞を言い終えた瞬間、私は確信しました。

粛々と進む儀式。降り止まない土砂降りの雨。

何もかもが私の解釈と違いました。

 

でも、

美しかったんです。

 

思い描いていたロスモワと、実際に見せられたKの世界。

正反対なのに、さも当たり前かのように当然として受け入れてしまっていました。圧倒されていました。

 

私は鈴木監督の描くロスモワに一目惚れしてしまったのです。

 

angelaの歌うEDも楽しみな7S。今回も例によって2回流れます。

私は2回とも必ず歌詞をしっかり噛み締めながらスタッフロールを眺める派でした。

 

しかし、

ラストシーンに圧倒された私は2回目のEDが流れ終わるまで動揺し続けていました。

 

具体的にどの程度かと言うと、

パンフレットを読むまで今作のEDは「飛行船を追い掛けた時点での八田の曲」だと勘違いしていた程度です。

歌詞を聞き取る余裕が全くありませんでした。

 

初めに2人目の王が剣を差し出し、最後に1人目の王が手を差し出す。

 

有り体に言って、

伏線回収の神かな?と思いました。

そういえばKは最終話でタイトルをKにしてくる伏線回収が鬼な神アニメだった。

 

忘れていました。

Lost Small Worldは壁井ユカコの作品である以前に、Kの作品だったのです。(当たり前体操)

 

 

・Kの世界と、Kじゃない世界

 

力を持たない一般人が王を知る、特殊なKの世界を知るまでの過程が窺えるのもロスモワの魅力のうちの一つです。

 

要するに、

この物語で最初に提示されるのはKじゃない世界なのです。

Kじゃない世界があってはじめて、Kの世界は成り立っているのです。世界はKだけが全てでは無いのです。

 

それを今作では圧倒的クオリティで提示されてしまったんです。

 

今を生きる一般人な私には、王の世界はとても光度の高い現実離れした圧巻の世界でした。

 

それは視点主の伏見もそうだった筈です。

 

ラストシーン、小説版の伏見が周防尊のインスタレーションで受けた衝撃を追体験した気がしました。

そこまで、描かれていないのに。

 

これは一重に音の演出効果なのだと思います。

 

背景知識として原作の展開を知っていたのも大きいとは思いますが、

劇場だから鳴らせる音だった。

家のテレビでは成し得ない効果だったとも思いました。

 

小説を読んでいない方でも、同じ様に腰を抜かしている方がいらっしゃるのではないかなと思います。

 

前編で八田と伏見、阿耶が生きていた灰色のKじゃない世界に慣れてきた頃、

後編に眩く輝くKの世界をまざまざと見せ付けられたんです。

 

そりゃあ目眩も動悸も頭痛もしますって。

鈴木監督、ポリゴンショックって知ってっか?

ん?知ってる?そうか。ありがとう。聞けてよかったよ。さすが鈴木大監督だな!

(私は誰と会話してるんだろう……。)

 

えっと、とにかく!

まとめてしまうと大満足でした。

 

 

私は伏見仁希がKのキャラクターの中でも最推しなのですが、文句無しの大満足でした。

 

ただ、

一つだけ違和感を覚えたシーンがあって。

パンフレットを読んで判明したのですが、そこは漫画版から逆輸入されたシーンでした。

なるほどね、と思いました。

(細々と言うのは今作の感想としては違うと思いますので避けます。漫画版の感想を述べる時に言うかもしれません。一生無いかもしれませんが。)

 

例のカマキリシーン。

三木眞一郎解釈の伏見仁希は、とても純粋な愛情を持った伏見仁希でした。

 

これを踏まえて霊安室でのルービックキューブのシーンを持ってきたのだろうなと思えるので、

かのシーンも鈴木監督の提示するロスモワとして必要な描写の1つだったと納得しています。

 

キャストについてですが、

小説では叶わなかった声のトーンの表現だけで、あれだけ愛情を感じさせる事が出来るのですから、只々感服しました。

反対に、

声のトーンによって木佐さんの合理的な冷徹さが際立っていましたね。

声優って凄いなぁ!

 

 

・北風と太陽

 

私、ロスモワを「北風と太陽」と表現する表現者が苦手でした。

 

伏見家と阿耶を北風、八田家を太陽とする表現にどうも違和感があったんです。

 

阿耶は八田を「普通」と言います。

しかし、

読者である私達は八田が所謂「普通」の家庭で「普通」の育ち方をしている訳では無い事を知っています。

八田は伏見や阿耶と環境を比べてしまっていて、

自分自身でも「普通」だと思い込んでいる節があります。

 

私達だけが八田も「普通」では無いと思っているんです。

八田が不平不満を抱く理由を知っているのは私達だけなんです。

 

そんな私達、二次創作者が八田を「太陽」と言ってしまうのは、八田の立場を追い詰めてしまうだろうと私は思っていました。

 

でも、

今作は伏見の視点で描かれていました。

 

八田の家庭環境や友人とのイザコザには触れず、ひたすら伏見視点で太陽のような明るく温かい八田が描かれていました。

 

それまで独占欲や執着、無関心といったネガティブな干渉のみを受けていた伏見が、

八田の温かな気遣いや、直接的な好意・友情に触れて、伏見が心を許すのも当然と言えます。

 

今作は正しく「北風と太陽」だったのです。

 

 

・これは前編だ

 

本当に大満足で、もう言う事なしの最高な出来でした。

 

この映画を観た後に、すぐさま小説版を手に取ったオタクが沢山いたと思います。

 

今作は劇場を使って、小説版のダイレクトマーケティングを成した作品だと言えるでしょう。

7Sの企画目標が最高の形で達成されています。

 

だからこそ、だからこそ!

これが前編で、

後編として残りの、伏見が青に入るまでの過程を映像化して貰えたら!どんなに幸せか!

 

幽霊な仁希のシーン、走っている車から飛び出すシーン、奇天烈ミルクパズルのシーン、足がただ一歩踏み出されていたシーン、バスでの再会シーン……

まだまだ見てみたいシーンはいっぱいあります。

 

あのクオリティで映像化されたら、どれだけ幸せか!

 

一周回って続編の制作をお願いしたい!!

これは文句ではありません!もはやただの要望です!

 

鈴木監督!壁井ユカコ氏!お願いします!ロスモワ全編を映像化してくださーい!😭

 

 

上映前の不安が杞憂に変わって大満足な私でした。

はぁー、良いものを観た!

まあ推しの特典欲しさにもう2回は行くんですけどね。(?)

 

特典、阿耶か木佐さんも欲しかったなぁ。

 

んじゃまた。

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